数字で読む、パチンコ・パチスロ

その光を支えるお金は、
どこから来るのか。

新台価格、店の経営、遊ぶ人の負担。
印象だけでは見えない構造を、公開データから考えます。

調査・編集:2026年9月28日 | 出典付き記事案

店の経営が苦しいことと、あなたが通い続けるべきかどうかは、別の話です。まずは数字を見て、自分のお金と時間をどこに使うか考えてみませんか。

01 / MACHINE COST

新台は高くなった。
では、入替も速くなった?

DK-SISの推測値では、新台1台あたりの平均価格は1995年の15.5万円から2023年の46.4万円へ、名目で約3倍。中古機を含まない平均で、特定機種の定価ではありません。

新台1台あたりの平均価格

単位:万円 / 棒は0を起点

1995
15.5
2016
36.3
2020
40.9
2023
46.4

一方、同じ資料の入替回転数は0.85回から0.50回へ低下しています。これは新台販売数と設置台数の関係を示す指標で、同じ台を何カ月使ったか、毎月何回新装開店したかを直接示すものではありません。

新台の入替回転数

単位:回 / 棒は0を起点

1995
0.85
2016
0.54
2020
0.33
2023
0.5

「台の価格が上がった」は確認できます。
「20〜30年前より一律に入替周期が短い」は、このデータでは裏付けられません。

1995年と2023年は28年間の比較。物価調整なし。図は選んだ年の比較で、連続した全年度データではありません。部材費・演出の高度化・機種構成それぞれの寄与は、この表だけでは分かりません。

出典:日本遊技関連事業協会「遊技業界データブック2024」p.38(DK-SIS推測) ↗

02 / BUSINESS REALITY

苦しいお店はある。
「すべてのお店が限界」ではない。

矢野経済研究所が分析した117社の2022年度決算では、売上高に対する営業利益の割合は平均0.1%。大手の一部を除く標本であり、全店の利益率ではありません。設備投資が収益を圧迫する経営の厳しさを示しています。

出典:矢野経済研究所:117社の2022年度決算分析 ↗

ただし、近年の倒産が増え続けているわけではありません。帝国データバンクの2025年の倒産は16件で、2024年の23件から減少。損益が分かった412社では71.6%が黒字でした。

ホール経営法人の年間倒産件数(比較年)

単位:件 / 棒は0を起点

2022
34
2024
23
2025
16

2026年は6月までに14件。通年の数字と並べて「倍増」とは扱えません。また、倒産・店舗の閉鎖・会社の合併は別の出来事です。会社が一つ減っても、複数店舗が残る場合があります。

グラフは同一調査の2022・2024・2025年の比較。2023年はこの図に含めていません。法人の倒産件数であり、閉店した店舗数ではありません。

出典:帝国データバンク「パチンコホール経営法人の実態調査(2025年)」 ↗

お店にも経費と経営判断がある。
だからこそ、あなたの暮らしを支えるお金まで預ける必要はありません。

03 / MONEY PER PLAYER

売上を人数で割れば、
「一人の負け額」になる?

答えは、そのままではなりません。貸玉料・貸メダル料は、お客さんに戻る景品相当分を差し引く前の取引額です。店の粗利とも、最終的な利益とも違います。

年間の遊技参加人口

単位:万人 / 棒は0を起点

2020
710
2021
720
2022
770
2023
660
2024
690

参加人口は2020年710万人、2024年690万人。ただし、2024年は前年の660万人から増えています。「毎年、減り続ける」という見せ方も正確ではありません。

出典:SANKYO掲載「レジャー白書2025」参加人口 ↗

2024年の規模を試算

16.2兆円 ÷ 690万人 ≒ 234.8万円
貸玉料・貸メダル料ベースの一人あたり取引額。負け額ではありません。

2.54兆円 ÷ 690万人 ≒ 36.8万円
業界総粗利を推計参加人口で割った年間参考値。

後者は利用者側の純支出を考える参考になりますが、「普通の人が毎年36.8万円負ける」という実測結果ではありません。異なる調査の推計同士を割った値で、参加頻度の違い、景品評価、標本や推計方法の誤差を含みます。中央値でもありません。

出典:ダイコク電機:2025年11月IR資料 p.8・11 ↗ / SANKYO掲載「レジャー白書2025」参加人口 ↗

計算の元データを見る(2020〜2024年)
市場規模と参加人口、粗利を人口で割った参考値
年参加人口
万人
貸玉等売上
兆円
総粗利
兆円
参考値
万円/人・年
202071014.62.3533.1
202172014.62.3933.2
202277014.62.3830.9
202366015.72.5438.5
202469016.22.5436.8

粗利(兆円)×10,000 ÷ 参加人口(万人)=万円/人・年。両系列は同一年で対応。年によって上下し、単調な増加ではありません。

別方式の推計もあります。2026年9月の講演報道では、DK-SISは約1,609万人、年間平均消費額約15.4万円という試算を紹介しています。調査方法・対象時点が異なるため、690万人と一本の推移グラフにはつなげていません。一人あたりの負担は、分母の推計で大きく変わります。

出典:遊技日本:DK-SIS白書2026年版を基にした講演報道(2026年9月24日) ↗

04 / THE COST OF AN HOUR

「お金が減るのが速い」を、
時間の単位で見る。

4円パチンコの遊技時間粗利は、2023年1,440円から2024年1,490円、2025年上期1,530円へ上昇したと報告されています。これは店が正味の遊技1時間あたりに得る粗利の平均です。

4円パチンコ:1時間当たりの店側粗利

単位:円/時間 / 棒は0を起点

2023年
1,440
2024年
1,490
2025年上期
1,530

1時間1,490円で遊べる、という料金表ではありません。

勝つ人・負ける人を含む平均のため、実際には短時間にこれを大きく超えて失う場合もあります。「出玉が増える速さ」「投入額の速さ」「平均の純支出」は別の指標です。

出典:遊技通信:DK-SIS白書2025年版発表会の報道(2025年7月16日) ↗

20〜30年前と現在の「1時間の負け額」を同条件で比較できる系列は、今回の公開資料では確保できませんでした。貸玉料金、機種、営業時間中の稼働時間と正味遊技時間を混ぜた比較はしていません。

図は4円パチンコに限った比較です。2025年は上期で、2023・2024年は通年。パチスロ全体や全機種の最新水準を示すものではありません。

05 / RULES AND OUTCOMES

規制が変わった。
それで、負担は軽くなったのか。

2018年2月施行の規則改正は、依存問題への対策として過度な遊技を抑える目的を掲げ、出玉性能の基準を見直しました。出玉情報を確認する表示装置の規格や、管理者による情報提供等も含まれています。

これは当時の改正の説明です。現在の全機種の仕様を、そのまま示すものではありません。

出典:警察庁:2017年9月4日付・規則改正通達(2018年2月施行) ↗

制度の変更には、店側の設備更新費用も伴います。矢野経済研究所は、新規則機への移行やスマート遊技機の導入を、設備投資負担の背景として挙げています。

出典:矢野経済研究所:117社の2022年度決算分析 ↗

しかし、制度の目的があることと、利用者の負担が実際に減ったことは別です。「消費者のためになったことはない」と断定するには、支出・依存による被害・相談や治療へのつながりなどを検証する必要があります。価格や倒産のグラフだけで規制の効果や因果関係は判定できません。

問いたいのは、勝てる演出が増えたかではなく、
暮らしを壊すほど使ってしまう人が減ったのか。

新しい台や新しいルールが、あなたの損失を取り戻してくれる保証はありません。店の事情を知ったうえで、離れる選択をしてもよいのです。

お金も、時間も。
あなたの暮らしのために。

今日できることへ →相談先を見る